日本人って、素晴らしい価値を創造したり画期的な作品を生みだしたりしますが、日本生まれの価値が分からない日本人が多いですよね。
大手メーカーに勤める知り合いから聞いた話です。何かこれまでにはない新商品を発売する場合、日本ではほとんど売り上げが期待できなのだそうな。海外で高く評価されて大評判となって、しばらくたってからやっと日本でも売れるようになるのだとか。
それでも時代の変化の影響でしょうか・・・
最近はSNSの普及の影響があって無名の個人のお店でも良いお店、良い商品であれば教え合って人気が出て売れる様にはなってきました。
日本では大手ですと広告を売ったり海外展開して人気を得たりできるのですけれど、無名の一個人ですと直接消費者にアピールできないまま
無名の一個人でも 声を上げましょう。好きな事、得意な事、やりがいを感じる事を仕事にして一流のプロとしてフリーランスで食べて行けるようになるために是非読んで頂きたいエピソードです。
社会人になったばかりの若かった頃、夫婦でふと立ち寄ったデパートの展示売り場。自分と同じ年頃の若い陶芸作家が夫妻で作品を並べて販売していました。
(※写真はイメージ。本エピソードとは無関係です。)
皿やら椀やら花瓶やらモダンな陶芸アート風作品の数々。薄給の自分達にとって生活に必要でないものなど買う余裕がなく、冷やかしのつもりで見物していました。
(※写真はイメージ。本エピソードとは無関係です。)
家内がモダンアート風の花瓶を気に入りました。見た事がない風変りな作品です。プライスは2万円、とても買えません。自分には陶芸作品の価値なんて分からなかったし、作品の良し悪しを見分ける審美眼がありませんでした。
(※写真はイメージ。本エピソードとは無関係です。)
私達夫婦が花瓶を眺めていると若い陶芸作家が近づいてきて自己アピールします。
作家「私は古典的な美の概念には捕らわれず、一般庶民の暮らしを豊かにするインテリアアートを目指しています。」
作家「よくあるタイプの陶芸品をきれいに作っていればそこそこ食べては行けます。でも私は新しい作風の創造に全精力を傾けます。理由は人類がエベレスト山登頂に挑むのと同じです。」
言っている事は凄い!。でも虚勢を張っているとか偉そうにしている感じはなく。純粋で誠実さが感じられ好感が持てましたし、新しい事に挑んでいる生き方が新鮮で魅力的に思えました。
花瓶は見た事もない現代アート風です。私達には良し悪しを見分ける審美眼なんてありません。薄給サラリーマンで狭いアパート暮らしの私達にとっては不相応に思えました。作家はそんな私達の事情を察したのでしょうか、作品の価値についてこんな説明をしてきました。
作家「この花瓶は10回以上作り直して、ようやく納得出来た逸品です。」
作家は試作して失敗した出来損ないの花瓶10点程の写真を私に見せてくる。この作品の製作にはかなりお金と時間と労力がかかったらしい。
作家「これと同じものは二度と同じものは作れないかも。手放したくないのですが、制作費や旅費、デパートへの出店料を稼がなければならなので。」
作家「私の作品を買ってくれたファンからは”持っているだけで心が満たされる”と言ってもらえています。」
そう言われるとグッと来た。何だかこの花瓶が良いものに見えてくる。
デパートの催事場とはどちらかと言うとお金持ちを相手にした売り場。そんな所に冷やかしで紛れ込んだお金がない私達夫婦。しかし若き作家はそんな私達を見下す事もなく、大切なお客様として誠意ある説明を続けます。
作家「厳選された良い土で作陶し、1250℃の高温で焼いています。割らなければ色あせる事無くいつまでも価値が失われません。」
作家「花瓶の底に私のサインが彫ってあります。将来私が人気作家になれば作品の価値は上がります。」
なる程、そういわれるとお金の浪費ではなく貯金や投資みたいなものなのか。
作家「私が有名になればきっと偽物が出回るでしょう。この直筆サインがある作品の価値は守られます。」
購入した後も失望させない心配りが伺えます。
それでも2万円は大金、私達は一旦はデパートの催事場を離れます。帰り道、あの花瓶が他のお客さんに売れてしまう気がして惜しくなってきました。家内と散々相談して分割クレジットで買うと決めてUターン。閉店間際に2万円の花瓶を買いました。本当に2万円の価値があるのか最後まで納得できませんでしたが作家の純粋さ、虚勢や誇張の無い誠実さ。そして冷やかしできた私達夫婦を見下すことなく親切丁寧な説明をしてくれた事が
「あの作家を応援したい。」
そんな気持ちを湧き起こさせて2万円の花瓶の購入に踏み切りました。
私が”他のお客さんに売れてしまう気がして惜しくなった” とか”あの作家を応援したい。”という気持ちになれたのは作品だけでは無理です。陶芸作家の以下の素養が私に作品が素晴らしいものと思わせてくれました。
(1).自分が目指したい現代アート風作品を
(2).どうすれば一般庶民のお客様に買ってもらえるか、使ってもらえるかを知り
(1)と(2)を満足する方法を考える事。
を簡潔明瞭に分かり易く伝える事
物造りに長けた人、熱心な人は黙して語らない傾向があります。もしかしたら売り込みや宣伝、アピールなんて卑しい行為という思い込みがあるのかも知れません。
作り手の作品を創造した背景や意図、どういう気持ちで自分の作品を見て欲しいのかを語って欲しいと思います。
説明を受けた側では「あっ、そういう目でこの作品を見れば良いのか。」「そう言われてこの作品を見ていると何だか良いものに思えてきた。」となる事があります。作品が本物であればですけれど。世の中の一般の人ってよく知られた作品以外の価値なんて分からないのだから。
と思うなら是非、一流のプロを目指して下さい。
と思うなら・・・
>>一流のプロになる素養はこうやって養えます。